『かがみの孤城』映画と小説(原作)の違い4つ

著:辻村深月
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『かがみの孤城』とは?

『かがみの孤城』の概要

  • 原作:辻村深月
  • 監督:原恵一
  • 制作:A-1 Pictures
  • 出版:2017年5月
  • 映画:2022年12月23日~

かがみの孤城は、『鍵のない夢を見る』で第143回直木賞を受賞した小説家・辻村深月によるファンタジーミステリー小説である。

出版は2017年5月。次の年2018年には本屋大賞を受賞。さらに2022年には劇場アニメ化もされている大人気作品だ。

物語は、とある共通点から選ばれた7人の中学生が、ある日突然光りだした鏡の中に吸い込まれ、城とオオカミさまがいる異世界に飛び込んでしまうというファンタジーものとなっている。

劇場版の監督を務めたのは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』や『カラフル』といった作品も手掛けている世界的映画監督・原恵一。

さらに制作は、『心が叫びたがってるんだ。』や『ヲタクに恋は難しい』など、数多くの有名作品を世に送り出してきたアニメ制作会社「A-1 Pictures」が担当している。

以下ではネタバレありです。

『かがみの孤城』映画と小説(原作)の違い4つ

大前提:かがみの孤城のアニメ化はかなり成功だと思う

かがみの孤城の小説(原作)は「558ページ」。
その大ボリュームの物語を、映画では「1時間56分」にまとめている。

正直、これだけの大ボリュームの原作を映画にしようと思うと、どうしても登場人物の心情や背景について深堀できないくなるため、感情移入しずらくなってしまう。

しかし、本作は思いのほか物語に深くのめりこめた。

この理由も含めて、以下では映画と小説(原作)の違いを解説していこうと思う。

違い① 映画はこころ1人にフォーカスを当てている印象が強い

もちろん、小説でも映画でも『かがみの孤城』の主人公はこころである。

しかし、小説(原作)ではもう少し、他の6人に対してもフォーカスが当てられており、感情移入しやすいつくりになっていた。

例えば、物語の終盤に、こころがほかの6人の過去を見る場面。

映画では、回想的な感じで割とコンパクトにまとめられていたが、原作では、もっと1人1人の出来事や感情の動きなどが詳細に描かれていた。

実際、映画の監督を務めた原恵一氏は、文春オンラインのインタビューで以下のように述べている。

「原作を読んで、ストーリーの流れを変えて無理に自分の映画にする必要はないだろうと感じました。ただ、7人全員の背景をきちんと描くのは時間の制限もあって難しい。こころを中心にした7人の物語、ということでやるしかないだろうと」

文春オンライン

やはり、映画ではこころへのフォーカス度を強くしているようですね。

違い② 「オオカミさま」と「アキ」の特別な関係

「ピンチだったから・・・」

アキがおばあちゃんの葬式の後、義理の父に襲われそうになっていたところを「オオカミさま」がこのように言って助けるシーンが映画にも小説にも存在する。

映画では、単純にオオカミさまが良い人みたいな感じで終わってしまっていたのだが、実はこの2人にもつながりがある。

実は、オオカミさまこと「水守実生(リオンの姉)」は、亡くなる最後の年、とある出会いで大学生のアキ(井上晶子)に病院で勉強を教えてもらっていたのだ。

原作では最後の最後、エピローグでこの2人の関係が明かされているのだが、映画ではこの関係性は丸々カットになっていた。この点は残念だった。

違い③ アキは原作ではもっと問題児だった

「問題児って感じだよなぁ。アキちゃんって、最後まで」

↑これは、原作においてスバルが、アキのいない場所で放った一言である。

映画だけしか見ていない人からすると、あの穏やかなスバルが言ったとは思えないような、皮肉めいた言葉に聞こえるかもしれないが、原作でのアキの様子はこういわれても仕方ないほど問題児の気質が確かにあった。

しかし、映画ではアキの性格もかなりマイルドになっていた。

これも尺的な問題で仕方ないのかもしれないが、やはり原作のアキの方が人間味があって私は好きである。

違い④ リオンの記憶の残り方

「オレ、覚えていたい。みんなのこと、姉ちゃんのこと。」

これは、願い事をかなえてしまい、城から7人が現実世界に戻らなくてはならない場面で、最後ひとり残ったリオンが、オオカミさま(姉)に対して放った言葉である。

これに対して、オオカミさまは「善処する」とだけ答えた。なかなか印象的なシーンである。

その結果、映画では中学2年生になって雪科第五中学校に転校してきたリオンが、まるで城での記憶がすべて残っているかのように、こころに話しかける場面がラストに流れていたが、原作ではちょっと違う。

原作ではお互いに、どこかで会ったことがある人?くらいの感じだった。

この映画ならではの演出には賛否両論分かれているようだ。

まとめ

今回はこれで以上になります。

正直、細かいことを言えば『かがみの孤城』の映画と小説の違いはまだまだあるのですが、大きな違いは以上で紹介した4つくらいになると思います。

より詳細が気になる方は、ぜひ小説を読んでみてください。(笑)

著:辻村深月
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最後までご覧いただきありがとうございました。

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